STEP 12 [資金計画の作成 ]
1.作成手順
資金計画は、次の手順で作成します。
@ 月次利益計画表の作成
A 売掛金回収計画表の作成
B 買掛金支払計画表の作成
C 資金残高表(支払手形・受取手形・割引手形・長期借入金・短期借入金・固定預金の月次資金計画)の作成
D 以上の4つの表から、月次資金繰計画表を誘導して作成
E 以上5つから資金運用計画を誘導して作成
F 以前に作った資金運用計画と、ここで作った資金運用計画を相互チェックし、大きく違っていたら修正を行う。
G 次に当月資金繰計画表、(上旬・中旬・下旬)を作成
H 実績金額をその都度、当月資金繰り計画表と月次資金繰り計画表に記入
I 計画と実績の差異から常に3〜4ヶ月先の資金繰りをたて対策を決定し実行する。
2.作成のしかた
@ 計画欄の売上高は、月次利益計画の数字を転記します。
A 次に前期決算書の現金預金合計を前月繰越欄に記入します。
B 現金回収のところは、例えば、過去の実績からみて当月売上のうち当月に現金回収される金額が 50%ならば、各月の売上高の計画金額に50%をかけた数字を記入します。
C 手形取立のところは、当月に受取手形が現金化する金額を書きます。例えば、受取手形が現金化するのが過去の実績からみて2ヶ月後ならば、今から2ヶ月前の受取手形残高がここに記入されます。
D その他収入の欄は、イ.月次利益計画の営業外収益の数字、ロ.お金の入る増資、ハ.還付される税金、ニ.定期預金の取り崩し金額を持ってきます。
E 支出の支払手形決済の数字は、支払手形の今月の銀行引落し分を書きます。例えば、過去の実績からみて3ヶ月後に支払手形が銀行引落しされる場合には、3ヶ月前の支払手形の残高を転記します。
F 現金仕入のところは、例えば、過去の実績からみて当月仕入分の60%が現金で決済され、掛仕入・手形仕入が残りの40%をしめる場合には、当月仕入高の金額に60%をかけた金額を転記します。
G 人件費・経費・利子割引料(営業外費用)は月次利益計画表からもってきます。
H 長期・短期借入金返済額は、銀行の返済予定表からもってきます。
I 固定預金は、月々の定期預金・定期積立の預入れ額を記入します。
J 設備支払は、機械・土地・建物等の設備計画からもってきます。
K 支出その他は、建物保証金・保険積立金・研究開発費などの繰延資産の投資金額・立替金・仮払金・利益処分における法人税、配当金、役員賞与の支払・法人税及び消費税の予定納税、中間申告額等です。
L 月次計算をします。
前期繰越+収入計−支出計=過不足金額となります。
不足金額は充足欄で、手形割引と短期借入金によって充足させます。
不足が設備投資を原因とする場合は、長期借入金によって充足します。
翌月繰越し金額は、年間の資金運用計画の期末流動預金の金額を目安にしてください。
M 月次資金繰り計画表が12ヶ月分埋ったら、右に合計金額を記入します。
N これまでの利益計画・月次資金繰り計画から年間の資金運用計画表を再度作成します。
以上作った資金運用計画と突き合わせ、大きな金額の差異がないかチェックします。
3.資金繰りを良くするには
資金繰りを良くするには、次のようなことを検討して下さい。
@ 赤字経営からの脱出
赤字経営体質から脱出するには、まず、社長の姿勢を変えなければなりません。そして、会社の社員が一丸となって、知恵を出し合い、社風を改善していくより他に手はありません。そのためには不採算部門を切り捨て、在庫を圧縮し、新規事業を立ち上げるようなことも検討しなければなりません。
A 回収と支払いのバランスをはかる
まずは回収促進をしてください。契約時の条件と回収実績を比較して、回収サイトが長い得意先には改善を申し入れてください。前金でもらう習慣も有効です。さらには、時間をかけながら得意先を支払いのいい得意先だけにシフトし、支払の悪い得意先は切る、という思い切りも時には必要かもしれません。
次に、支払の適正化をはかります。支払条件を伸ばすとか、現金仕入から買掛仕入に切り替えるなどが考えられます。
B 適正在庫をもつ
仕入計画を立て、基準となる在庫数量を設定してそれを基に管理します。在庫管理で重要なのが定期的な実地棚卸です。毎月するのが理想です。これをすることによって、本当の粗利益もつかめますし、在庫の内容のチェックができ、不良在庫が排除できます。
C 有効な設備投資計画を立てる
まず、きつめの採算計算をし、次に自己資金・低利制度融資を中心にした資金調達を立て、さらに新設備から上がる収益と減価償却費の合計額で賄える無理のない返済計画を立てるということをします。
D 金融機関を味方にする
金融機関は経営協力者です。経営計画発表会には必ず来賓としてお招きし、毎月の試算表が出たら、社長自ら金融機関を訪れ、結果を報告し、展望を述べて下さい。こうした地道な活動が信用を生みます。次に定期的に金融機関の棚卸をして、金融機関ごとに預貸率と担保余力を判断し、自社のメインバンクを明らかにしておくとよいでしょう。また、中小企業向けの制度資金(国民金融公庫・中小企業金融公庫・商工中金・都道府県の制度融資)も積極的に活用しましょう。
E 自己資本の蓄積をはかる
従業員持株制度の導入や役員による増資を行い、自己資本の蓄積をはかることも検討するとよいでしょう。
F 総資産を圧縮する
バブル期に仕入れた不要な資産(上地・株式・ゴルフ会員権)は、値も下がり売却も難しいですが、この際、さっぱりと売り払い、金を作り、借入金を返済し、金利負担を減らし、経営体質をスリム化することが重要です。また、今より敷金・保証金の安い賃貸物件に引っ越しするのも一案です。さらには、オーナー経営の場合、いざという時には経営者個人の資産を売却し、会社に貸し付け、それをもって借入金の返済に充てたり、運転資金に充当することも考えておきましょう。
G 仕入先に協力を依頼する
手形ジャンプをお願いするという方法もありますが、何度もやると信用不安を引き起こし、命取りになりますので注意してください。
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経営計画書とは |
- 経営計画書とは、将来の「あるべき姿(目標)」に到達するために、今何をするべきかを示してくれる「道しるべ」のようなものです。道しるべがなければいくら大きな目標を掲げても、目標には到達できません。では、目標地点にたどり着くにはどうしたらいいのでしょうか?それは明かりを灯せばいいのです。その明かりとなるのが経営計画書です。
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経営計画書は何故必要か |
- 現代の中小企業経営は、企業を取り巻く環境の変化により、物は売れず、取引先からは納品単価の引下げを要請されるなど、厳しい競争社会の波にさらされています。そんな中、将来の見通しも立てず、今までのような感覚のみに頼った経営を続けていきますと、業績は益々悪化し、設備投資はおろか、借入金の返済もおぼつかなくなり、給与さえろくに払えない状況になってしまいます。また、赤字が続きますと、金融機関からも見放され、ますます苦境に陥ってしまうでしょう。
そんなことにならないためには、きちんと計画を立てて経営をすること、これこそが今、経営者に求められていることなのです。
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